BSCをめぐる主要な論点--グローバルスタンダード経営の羅針盤 (特集 企業のグローバル化と管理会計

BSCをめぐる主要な論点--グローバルスタンダード経営の羅針盤 (特集 企業のグローバル化と管理会計

伊藤嘉博(著)
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BSCをめぐる主要な論点--グローバルスタンダード経営の羅針盤 (特集 企業のグローバル化と管理会計

伊藤嘉博(著)

會計(163(3) 2003年3月号)


1.序
2.BSC実践において顕在化してきた諸問題
 (1)明確なビジョン及び戦略の欠如
 (2)方針管理の負の影響
3.戦略マネジメントシステムへと脱皮するための要件
 (1)予算との有機的な連携の必要性
 (2)戦略が他予算への転換
 (3)報酬連動型業績評価システムとの相互作用
4.報酬連動型業績管理システムの課題
 (1)報酬連動型業績管理システムの課題
 (2)公平かつ客観的な評価に近づくための枠組み
 (3)戦略マネジメントシステムとの相互作用
5.結び

2003年の著作でありながら、非常にシンプルに、広範に渡るBSCに関連するテーマを的確に捉えている。個々の議論については割愛。

BSCを導入する企業で、業績管理指標を細かく設定しようと考える企業も少なくない。これにはさまざまな理由が考えられる。
1.他の、BSCに活用できそうな情報をもつ経営管理システムが並行して運営されていること
2.事業基盤としてのITが充実し、データがとりやすくなったことと
3.「不安なのでできるだけ多くの指標をとりたい」という不安感
4.全員参加型の経営を指向するために、指標を多数設定することで、全員が関与できるようにすること
5.特に成果主義等、最終的に個人の報酬システムにつなげるために、細かな業績評価情報を必要としていること

予算との関係については、個人的にももう少し研究が必要であると感じた。印象としては、予算にまで詳細に組み込まないにしても、目標としての財務的な成果は見据えておく、ということもありそうだ、と言うことである。あるいは、日本企業では、予算がある程度必達目標として機能しているのに対し、BSC上での財務の視点の表現は、もう少し広い感覚で使用されているようにも感じるという事である。(もちろん、企業によって大きく異なるが)

BSCをMBOのひとつと考えるべきかどうかについては、疑問。

BSCと報酬システムの連動については、様々なやり方があると思うが、個人的には、現状の日本企業の多くでは直接連動できない、と考えている。むしろ、BSCとMBOとの関係を少し狭めてみる試みを実践することと、そもそも近年の成果主義的な報酬制度への移行について、もう少し議論を深めて導入すべきである、という考えである。一足飛びにBSCでの評価を報酬の増減には連動できない。

P207
「日本企業が長年培ってきた方針管理とのある主の役割の重複も、戦略マネジメントシステムとしてのBSCの活用を難しくしている。そのせいであろうか、わが国企業の多くは、戦略マネジメントシステムとしてよりも、むしろ、業績評価のための新たなフレームワークの提供をBSCに期待する傾向が見られる」
P208
「業績評価は単に評価だけで終わるものではない。真の目的は、業績をより望ましい方向へと誘導することにある。その意味では、戦略マネジメントシステムも業績評価システムも目指すところは同じであり、(中略)しかしながら、戦略マネジメントシステムとしての役割だけに特化した議論やBSC実践もまた問題である。というのも、この機能は業績評価機能と表裏一体の関係にあるからであり、システム設計に際しては、どちらかに偏重することなくこれらの機能を同時的に追求していく必要がある」
P212
「予算をこのように2つのタイプに分けることは、実務を混乱させ、かえってBSCと予算との統合を困難にさせるようにも思える。そこで、戦略予算なるものを新たに創出して日常的な業務に関連する予算とは別個のものとして扱うのではなく、むしろ、従来の予算そのものを戦略型のそれへと転換することを考えるべきではないだろうか」
P215
「BSCはもともとMBOの一種と考えられるので、目標達成度ないし達成率によるのが基本となる。」

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