管理可能性原則と「会計責任」

管理可能性原則と「会計責任」

小林哲夫(著)
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管理可能性原則と「会計責任」

小林哲夫(著)

會計(144(4) 1993年10月号)


1.はじめに
2.管理可能性概念について
3.責任会計における「会計責任」概念
4.管理可能性原則と「会計責任」の相互作用

管理会計制度、業績管理制度、及びBSCの設計、導入、運用にとって、業績責任と管理可能性原則の問題に、しばしばぶつかる。

ある程度成熟した企業でも、業績責任に関わる問題が整理されていないケースも多い。様々な理由があり、例えば組織の業績を議論する環境にそれまで無かったことや、個人と組織の業績の問題の整理ができていないケースもあったりする。
本来であれば、BSCを提案するにあたり、この周囲の知識やノウハウが必要であるはずが、議論されずフレームワークの簡易な設計に終わる場合も少なくない。

また、そもそも、業績管理に不備があるために、業績を向上させることができない企業であるほど、「業績管理は自分たちはできている」「業績管理の仕組みは整っている」という風に考える傾向にあるということだ。

BSCを導入するしないに関わらず、企業であれば、業績管理の問題を抱えており、その解決のヒントは、この論文の会計責任(業績責任)と管理可能性原則との折り合いの問題にもあり、是非、今一度考える必要があると思われる。

さしあたりこの論文を読み、ざまざまな論文を読むことを試行してみるのも良いと思う。但し、財務会計寄りになりすぎると、エージェンシー理論の話に偏り過ぎる傾向があり、日本企業、とりわけ中堅企業以下に議論が合致しないようにも思われ、その点の取捨選択は必要かもしれない。

P448
「責任会計概念には、少なくとも次の二つの基本的な視点が含まれている(中略)ひとつは、原価、収益、あるいはそれらに関する標準や予算からの差異を部門管理者等の責任と結びつけて組織単位毎に集計するという視点(中略)もう一つの視点とは、集計された原価や収益が当該管理者にとってコントロールできないファクターによって影響を受けている場合には、その影響部分をできる限り排除して、当該管理者がコントロール可能な部分についてのみ責任を問うという事である(中略)この二つの視点のうち、第二の視点は、より純粋に管理可能性概念を反映していると言えるのに対して、第一の視点は、管理可能性概念とは関係はあるが、必ずしも純粋にそれを表現しているのではなく、若干異質な意味をもちうる「会計責任」を含意しているのではないか(中略)本稿で指摘したい点は、管理可能性概念と「会計責任」がどのような形で組み合わせって行くのかを考えてみることが一つの研究課題となるということである。」

P454
「管理可能性原則の考え方と若干異質な「会計責任」の考え方が責任会計概念のなかに存在する場合に、そのような責任会計システムにどのような積極的な意味を与えることができるかと言うことである」

P455
「管理可能性が第二節で説明したように個人の行動原理に根ざしているのに対して、「会計責任」の設定と解除は投資支出の長期的な回収という組織目的と結びつくものであるという点で、一方だけを考慮することは、組織における管理会計概念としてその実践的な意義を主張できないのではないか」

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